プロローグ
■「第一次魔道対戦」と「六英雄」 |
その圧倒的な力により人類が滅びるのも時間の問題と思われていた。
その時、六人の英傑が現れた。
彼らは古の力「魔術」を人類に伝え、人々はそれに科学を融合させ、
万能の力「術式」を完成させた。
新たなる力を得た人類は、六人の英傑と共に黒き獣に対し反撃を開始し、
激しい戦いの果て、ついに黒き獣を打ち倒した。
後にこの戦いは「第一次魔道大戦」と呼ばれ、
彼ら六人は「六英雄」として語り継がれる存在となった。
この大戦で術式を行使するために大量に作製された「魔道書」を管理する
「世界虚空情報統制機構(統制機構)」という組織が結成された。
世界は統制機構による統治のもと、人類は新たに手に入れた力を用い、
あらゆる分野で急激な発展を遂げた。
そうして復興した世界は、大戦前とは大きく様相を変えていた。
■世界を支配する「力」に挑む男 |
術式主体となった世界は個人の能力による大きな格差を生んだ。
世界各地の不満はつのり、ついには統制機構からの離反を企てた「イカルガ連邦」による
「第二次魔道大戦(イカルガ内戦)」が勃発した。
これは人類同士による術式を用いた初めての戦争であった。
この内戦はイカルガ連邦を壊滅させたことにより終結し、その結果統制機構は「刃向う者は
完膚なきまでに殲滅する」という理念をより世界に知らしめることとなった。
イカルガ内戦平定から数年後、驚くべき事件が発生する。
一国の軍隊に相当する力を持つとされる統制機構の支部が、突如出現した男により、
次々と壊滅させられたのである。
「ラグナ=ザ=ブラッドエッジ」
世界を支配する「力」に対し、たった一人で戦いを挑む者の名である。
A.D.2199 Dec
一年の締め括り、街は新年への期待で活気づいていた。
そんな最中をSS級の統制機構反逆者にして史上最高額の賞金首、「ラグナ=ザ=ブラッドエッジ」が
第十三階層都市「カグツチ」に出現したという情報が走り抜ける。
対象「ラグナ=ザ=ブラッドエッジ」は別名「死神」と称され、
その行動目的は統制機構の壊滅といわれている。
対象に懸けられた高額な賞金や彼の所有する絶対無比の力を持つ魔道書を狙い、
様々な者達がここ第十三階層都市「カグツチ」に集結する。
無論、その中には統制機構の放った刺客の姿も……。